「BOSSのワーミー」という言い方は正確ではない
先に用語を整理しておきます。Whammy(ワーミー)はDigiTechの登録商標で、1989年から続くペダル型ピッチシフターのシリーズ名です。現行は第5世代にあたります。
そのため「BOSSのワーミー」という製品は存在しません。ただしペダルを踏み込んでピッチを上げ下げするエフェクトというカテゴリー自体がワーミーの名前で定着しているため、その系統の新製品としてXS-1 / XS-100が登場した、という理解が実態に近いです。海外メディアでも、DigiTechのWhammy・Drop、Electro-HarmonixのPitch Forkを意識した製品として紹介されています。
この記事では、DigiTech製品を指す場合のみ「Whammy/ワーミー」と表記し、BOSS製品は正式名称のXS-1 / XS-100と書いています。
XS-1 と XS-100 の違い
同じシリーズですが、想定している使い方がかなり違います。
| XS-1 | XS-100 | |
|---|---|---|
| 形状 | コンパクトペダル | エクスプレッションペダル一体型 |
| ピッチレンジ | ±3オクターブ | ±4オクターブ |
| プリセット | — | 30メモリー |
| MIDI | なし | IN / OUT(ステレオミニ) |
| 外部端子 | エクスプレッションペダル対応 | CTL1/2、EXP2、USB Type-C |
| サイズ | 73 × 129 × 59 mm | 147 × 230 × 72 mm |
| 重量 | — | 1.7kg |
| 価格(米国) | $199.99 | $349.99 |
XS-1 は「常設して使う」ピッチシフター
コンパクトサイズで、原音とエフェクト音のバランスを調整するノブを備えています。別売のエクスプレッションペダルを繋げばピッチベンドもできますが、基本はボードに置きっぱなしにして、オクターブやハーモニーを足す使い方が中心になります。
XS-100 は「踏んで操作する」フラッグシップ
ペダルが一体化しており、30プリセットとMIDIを備えています。半音単位での設定ができ、外部フットスイッチやエクスプレッションペダルを最大2つ追加できます。ワーミー的な使い方を本格的にやるならこちらです。
評価されている点と、指摘されている弱点
Guitar Worldのレビューでは、アーティファクト(不自然なノイズや揺らぎ)が無いというBOSSの主張は誇張ではないと評価されています。ピッチシフターは音の揺れやデジタル臭さが弱点になりやすいカテゴリーなので、ここが評価されているのは大きいです。
ただし限界もある
同レビューでは、±2オクターブを超える極端なシフトでは、特に低音弦で追従性が落ちるという指摘もされています。ピッチシフターの原理上ここは避けにくい部分で、XSシリーズも例外ではないということです。
またXS-1にはMIDIがないため、他機材と連携させた運用を考えている場合はXS-100を選ぶ必要があります。
この記事は実機未使用の状態で書いています。上に挙げた評価と弱点は、いずれも公表値と実機レビューを参照したものです。試奏する機会があれば、実際に踏んだ感触をあらためて追記します。
公式に使用が確認できているアーティスト
BOSSが公開しているアーティストコメントから、実際に使用しているギタリストとその使い方が確認できます。詳細は下の「使用しているアーティスト」の欄にまとめました。
傾向として、単純なオクターブ奏法ではなく、ハーモナイズやキーシフトといった音楽的な用途で使われているコメントが多いのが特徴です。ワーミーが「ダイブボム的な飛び道具」のイメージで語られがちなのに対して、XSシリーズはそこから一歩踏み込んだ位置に置かれようとしているように見えます。
結論
ピッチシフターの弱点だった不自然さを潰しにきた新シリーズ。ボードに常設するならXS-1、踏んで操作するならXS-100という住み分けが明確です。
良かった点
- ポリフォニック(和音)でも破綻しにくいと評価されている
- XS-1はコンパクトサイズでボードに組み込みやすい
- XS-100は30プリセットとMIDIを備え、システムに組み込める
- 半音単位でのキーシフトができ、変則チューニングの代用にも使える
気になった点
- ±2オクターブを超えると低音弦で追従性が落ちるという指摘がある
- XS-1にはMIDIがなく、他機材との連携には向かない
- XS-100は1.7kgとボード上での存在感が大きい
- 国内価格は販売店により幅があるため、購入前の確認が必要
向いている人:ピッチシフターの音質に不満があった人/変則チューニングを1台で済ませたい人
向かない人:極端なオクターブダウンを多用する人/すでにWhammyで満足している人